白子森造のブログ

①山に行って楽しむべし、②温泉で身体を休めるべし、③しょっぱい食べ物で塩分を補給すべし、④家に着いたら昼寝すべし。是、究極の休日の過ごし方成り

T沼のK太郎

 その大仏の北に続いて、やはり水干を形成している立様を少し下ると山上の神秘湖垂天池沼がある。秋田郡邑魚譚(昭和15年4月30日)※垂天池はタデヂとルビ。

 なんとも冒険心を煽る書き出しじゃないですか!
 秋田市からは車で約2時間。さらに歩いて30分から1時間という立地です。
 この沼、いつ発見されたかは定かではありませんが、山崩れのために出来た堰止湖とされています。その昔から神秘の湖として、語り継がれていたんでありましょう。

 このお話、続きを読んでいきますと

 昔、上桧木内横枕集落(比内沢)の上杉弥五右衛門のショウゲ(障害を持った)の婆が、どうした心持ちか麻糸を巻いた枠(ガワ)を背負って一目散に沼に駆け上った。 引き留めようとする村人を時々にらみつけて行く。やがて村人が垂天池沼についてみると、岸に草履がそろっており、背負っていた枠ばかりが水面に浮かんでいた。今でも天気の良い日にはショウゲの婆さんが沼を出て機を織っている。そして、上のサマ(立様)に休んでいるから、うっかりそこを通ると祟られるという。

この沼で入水自殺を図ったんですね…。人里を離れた(といっても2km程度)鬱蒼とした森の中にひっそりと佇む沼ならではのエピソードです。

この沼付近はとても静かで、風が吹いて木の葉が揺れる音がかなりの距離が離れていても聞こえます。もし二人でいたら、沼の対岸にお互い立って「おーい」と叫んで聞こえるか試してみたいです。

また、約8年前、クニマスが西湖で発見された際には、仙北市議会でクニマス田沢湖ではなく、この垂天池沼に戻してはどうか?という意見も出されました。
門脇市長は生態系を乱すからダメと言ってしまったんですが、面白い意見ではありますよね。
で、門脇市長のブログにそのことを書いた記事があったんです。2011年1月5日(水)垂天池沼にクニマス?というタイトルです。

その中で

垂天池沼と田沢湖は繋がっていて、辰子さんと八郎さん(伝説です)の別荘になっているとの噂もあります。

ほうほう、田沢湖と垂天池沼が繋がっている噂ですか。川などで直接は繋がってはいませんが、地下水脈でつながっていたり、はたまた精神的なつながりなんでしょうか。

さて、この沼に魚は住んでいるんだろうか?

コイ、フナ、ニゲャフェヤしか住んでいなかった。3尺ほどの大きさのコイもいた。

大正時代に子熊という森林主事の人がアメマスと田沢湖の孵化場から米鱒を放流した。

昭和5年頃、3尺以上の赤いコイが6尾悠々と泳いでいたため鉄砲を撃ったが、当たらなかった。

1940年(昭和25年)頃には角館営林署が赤上岩吉を沼の番人とした。赤上は筏で沼を移動していた。

1968年(昭和43年)7月、田中力三は仲間と一緒に垂天池沼に魚を捕ろうと網を入れた。その時、金色の全長1.5mほどの鯉が網にかかったが、逃げられてしまう。

1988年(昭和63年)田中は地元テレビ局の協力で、特注の網と水中カメラで沼を探したものの、巨大な鯉は発見できなかった。

 マス系の魚を放流していた実績があるんですね。ちょっと脱線しますが、ということはクニマスが生息できる可能性はかなり高い。クニマスは全国各地に放流された実績がある。この沼はクニマスが住んでいた田沢湖と距離も近い。もしかしたらここにもクニマスが放流されたのかもしれませんね。残念ながら記録はありませんが。

 ということで、話を戻しまして、しばらく巨大な鯉は撮影されていないようですので、私が撮影してきました!!

 では、O池のタキタロウじゃなくて、T沼のK太郎こと垂天池沼の鯉太郎をご覧ください!


 体調1.5mには到底及びませんが、それでも立派なもんです。
 尾びれから鯉だと思いますが、ひょっとしたらタキタロウのように、鯉とは別の遺伝子を持った種類かもしれないと思うとロマンが広がります

 10年前はもっと鬱蒼とした雰囲気だったんですが、近年は沼の近くまで伐採が入り、奥山間が薄れています。
 ただし、伐採のブルの跡が登山道のダマシになっていてちょっと迷いやすくなっています。
 また、熊も足跡を隠さずに油断して歩くような熊の密集地帯ですので、もし初めて行く場合は二人以上で行くことをお勧めします。